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(C) くあんとだうん
1998-2002, 2005-現在



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(最終更新日:2007年5月14日

【M2本】 宮台真司×宮崎哲弥
M2:われらの時代に・ニッポン問題・エイリアンズ・思考のロバストネス・ナショナリズムの作法


M2われらの時代に
単行本
朝日新聞社
2002年3月
文庫本
朝日文庫
(朝日新聞社)
2004年6月

ニッポン問題
単行本
インフォバーン
2003年6月
文庫本
朝日文庫
(朝日新聞社)
2006年9月

思考のロバストネス
単行本
インフォバーン
2006年1月

ナショナリズムの作法
単行本
インフォバーン
2007年.4月

■M2本(M2:われらの時代に・ニッポン問題・エイリアンズ・思考のロバストネス・ナショナリズムの作法)は、月刊『サイゾー』(インフォバーン)で1999年6月号〜2006年12月号に連載されていた社会学者・宮台真司とヒョーロンカ・宮崎哲弥(=M2)による対談「M2われらの時代に」を収録したもの。なお、左の表紙画像は、「ナショナリズムの作法」のもの。

■非常に幅広い守備範囲を有しているM2は、国家や、政治、外交、法、経済、教育、性、家族、サブカルチャー(映画・漫画・音楽)などについて縦横無尽に論じている。特に、9・11米国同時多発テロ発生以降の連載では、社会問題の分析に国際社会や歴史という視点が新たに加えられ、そして、日本が米国発グロ−バライゼ−ションのもとで米国の制度および生活様式を無防備に吸収し続けることを問題視し、文化防衛論的色彩が濃くなっている。

■また、連載を通じて、メディアでは語ることがタブー視されている天皇・右翼・左翼について幾度となく言及している。さらに、自身の性や実存についても大いに語ることがあったが、そこでは哲学や宗教による高精度な分析がふんだんに盛り込まれ、読み応え十分の内容となっている。M2本で一貫して問題としてきたのは、日本人の民度の低さ。宮台真司は、連載中盤以降、そのような日本人を「田吾作」と称している。

■本書を通じて、現代社会を分析するための基礎教養を身につけることができ、かつ国内外の問題の真の所在やその背景について知ることができる。

→書評の詳細はこちら
その1
http://plaza.rakuten.co.jp/dcount05/diary/200612040000/
その2
http://plaza.rakuten.co.jp/dcount05/diary/200612170000/
【制服少女たちの選択】 宮台真司


制服少女たちの選択
単行本
講談社
1994年11月
文庫本
朝日文庫
(朝日新聞社)
2006年12月
■本書は、社会システム理論によるブルセラ女子高生の分析に関する代表的な論文からなる前半部分(=『制服少女がパンツを売る理由』)と、80年代の消費ブームや宗教ブームに社会システム理論を適用することによりその理論の枠組みを紹介した後半部分(=『コミュニケーションの進化史』)とから構成されている。

■ブルセラ女子高生の分析に関する前半部分では、女子高生のパンツ売りは、都市化・郊外化による共同体の急速な崩壊に起因するコミュニケーション環境の変化(たとえば道徳の消失)に適応した結果であると分析。女子高生取材の先駆けであるライターの藤井良樹の言葉『ブルセラ女子高生、それはあなただ』を引用し、論壇オヤジを始めとする団塊世代の親たちに痛烈な一撃を加えている。

■これは、「そのようなコミュニケーション環境の変化は女子高生だけでなく、大人をも含む社会全般に起こっている」という分析によるものであり、90年代中盤以降に頻発した企業や公務員による不祥事の当事者がオヤジたちであったことから、本書の分析の正しさは実証済。

■社会システム理論の枠組みを提示した後半部分は、本書のタイトルからすると、ブルセラ女子高生の分析に関する前半部分の付録のような印象を受けるが、実際の内容は、前半部分よりも豊富で奥深い。だから後半部分が本書のメインといえるほど。そこでは、80年代の日本社会の様子や、その時代を代表する新人類世代の行動、新人類世代を含む日本社会のコミュニケーションの変遷・特異性を知ることができる。特に、社会システム理論による人格類型の抽出における世界の有意味化戦略や自己イメージ維持戦略の分析は、極めて示唆に富んでおり、人間の行動原理に関心のある人にとって、とても興味深い内容となっている。

■僕は、特に後半部分を通じて、社会の分析道具としての社会システム理論の切れ味の鋭さを実感し、社会システム理論の枠組みを身に付けることができた。だから、本書をお気に入りの本とするのは、この後半部分によるところが大きい。

■本書は、10年以上前に書かれたものであるが、その内容に古さを感じない。社会システム理論により分析したコミュニケーションの変遷に基づき現在の有様を見事に予見していたことに加えて、今後の社会を読み解く上で重要な視点を提供している。制服少女たちのパンツ売りへの処方箋として示された「社会学的啓蒙」は、社会問題一般を解決するための手法として適用することができ、特に、10年前と比べて社会の島宇宙化の進行により社会の不透明化・複雑化が進んだ現在、その手法の適用の重要性が増していると考える。

→書評の詳細はこちら
その1
http://plaza.rakuten.co.jp/dcount05/diary/200704100000/
その2
http://plaza.rakuten.co.jp/dcount05/diary/200704100001/
【民主と愛国−戦後日本のナショナリズムと公共性】 小熊英二


<民主>と<愛国>
新曜社
2002年10月
■太平洋戦争(正確には大東亜戦争)時、軍部や各種団体は、大政翼賛体制・言論統制下におかれたが、それは見かけだけの総力戦体制。

■「各組織が上層から末端まで相互連絡をとらない独断専行が横行するセクショナリズム」、「末端だけでなく上層部も責任をとらない無責任」、「愛国を声高に叫ぶ似非愛国者による軍需物資・配球物資の横流し」、および、「密告による国民間の相互監視」がまかり通り、総力戦体制の内実は、「そもそも米国に勝利する気があったのか?」と思わされるほどにひどいものであった。

■その結果、本来は協力すべき国民どうしが相互不信に陥り、モラルが荒廃した。そして、多くの戦死者や他国への被害がもたらされ、当然のことながら、敗戦に至った。敗戦後、それらへの反省を出発点として「戦後思想」が生まれた。

■本書は、総ページ数が900ページ余りにも及ぶ大著。そこでは、「戦後思想」を、戦争・敗戦を経験した人々によって担われた思想として規定し、彼らがおもに活躍した戦中から1970年前後までの「戦後思想」の変遷を検証。

■当時の知識人を始めとする人々(戦前派・戦中派・小国民世代の人々)の言葉を引用することにより、その時代において抱かれた人々の心情が再現されている。その再現によって、各時代の日本社会の様子が映像や写真以上の迫力を持って眼前に迫ってくるような感じで、政治の時代(=安保闘争や、全共闘運動、ベトナム反戦運動などの時代)の終了後の消費の時代(=70年代後半以降)を生きてきた団塊ジュニア世代である僕にとっては、想像の及ばない世界が1970年以前の日本に拡がっていたことを知った。

■そのなかで、人々に刻印された戦争体験の巨大さに衝撃を受けるとともに、それにも関わらず、戦争体験の風化が速かったこと、および、その風化を促進した高度経済成長の影響の大きさに驚き、そしてなによりも、戦争体験の風化への最大の原因となった日本人特有の忘却癖・歴史意識の欠如のひどさを痛感した。

■戦争への反省および各種運動などの先人達の試行錯誤にも関わらず、日本人は、そこから学びを得ることができず、変わることができなかった。しかも、先人達の試行錯誤の軌跡を完全に忘却し、戦後思想が単純化・短絡化された結果、現在では、憲法9条や、歴史認識、外交(おもに米国・中国・韓国との外交)などの議論が、単なる感情の発露に過ぎない空虚なものとなっている。そのような状況から脱却しなければならない日本人にとって、先人達の試行錯誤の記録である本書は貴重な資料である。

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その1
http://plaza.rakuten.co.jp/dcount05/diary/200705040000/
その2
http://plaza.rakuten.co.jp/dcount05/diary/200705050000/
その3
http://plaza.rakuten.co.jp/dcount05/diary/200705050001/
【下山事件(シモヤマ・ケース)】 森達也


下山事件
シモヤマ・ケース)
単行本
新潮社
2004年2月
文庫本
新潮文庫
(新潮社)
2006年11月
■時代は、敗戦後における連合軍(事実上、米軍)による占領期の半ばの混乱期。初代国鉄総裁に就任した下山定則は、約3万人の国鉄の人員整理を発表した翌日の朝、東京・日本橋の三越に入った後に謎の失踪を遂げ、翌日未明に、国鉄常磐線の線路で轢死体となって発見された。これが下山事件。

■本書は、「自分の祖父は下山事件の実行に関わったかもしれない組織に所属していた」と語る『彼』に出会ったことをきっかけに下山事件の謎解きに入り込んでいったドキュメンタリー作家の森達也が、『彼』からの情報および下山事件関係の過去の文献・資料をもとに、生存している数少ない下山事件関係者を探し出し取材した過程を描いたノンフィクション。ちなみに、著者は、「A」,「A2」でオウム真理教の側から日本社会を撮り、日本社会もオウムと同様に共同体的思考停止構造を有することを浮き彫りにしたことで有名。

■『彼』の祖父が所属していた組織とは亜細亜産業。亜細亜産業は、下山が失踪した日本橋の三越から目と鼻の先にあり、著者による事件取材や調査のなかで得られたさまざまな情報の接点に幾度となく現れた。

■そのような亜細亜産業の総帥であった矢板玄は事件当時、のちに首相となった岸信介などの政治家や、戦後フィクサーとして暗躍した数多の大物右翼、米軍謀略組織のキャップであったジャック・キャノン、下山が国鉄総裁時に副総裁であった加賀山之雄と親交があった。このように本書では、米軍諜報機関やそれに協力した右翼勢力の謀略による下山暗殺説が有力であることを示す内容となっている。

■本書を通じて判ることは、戦後史(特に米軍による占領期)における下山事件の意味。占領政策の転換による混乱状況下、表舞台・裏舞台のさまざまな左派・右派・アングラ勢力が特定の思惑を持ってひしめき合っていたなかで下山事件が起こり、その結果、左派勢力が弱体化し、日本は、冷戦体制下で米国側につくことが決定づけられ、高度経済成長を突き進むことになった。このように下山事件は、戦後日本の繁栄の原点、ひいては現在の対米関係の原点に位置しており、いまの日本を考える上でも重要な意味を有する事件。

■事件の結果、左派勢力が弱体化したのは、事件に関する確たる証拠が得られていないにも関わらず、ときの政府およびメディアが、「国鉄を舞台とした一連の事件は共産党を始めとする左派勢力による犯行である」と喧伝したことによる。このように日本の針路の決定には、政府およびメディアの偏向発表・報道に世論が安易に乗せられたことが大きく関係しており、著者はこの事実を思考停止構造として繰り返し問題視している。

■本書のなかで読み応えのあるところは、生存している数少ない下山事件関係者への取材。関係者が事件の核心についてなかなか語らないことが却って、事件背後に控える闇の勢力の大きさを浮かび上がらせている。大物右翼を始めるとする親米右翼に関する記述量の多さからすると、著者は、「愛国者なのに反共という一点のみで占領軍に取り入り利権を得ていた」右翼に違和を感じ、そこに思考停止を見て取っていることが窺われる。

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その1
http://plaza.rakuten.co.jp/dcount05/diary/200705060000/
その2
http://plaza.rakuten.co.jp/dcount05/diary/200705060001/
【日本はなぜ敗れるのか−敗因21カ条】 山本七平


日本はなぜ
敗れるのか
角川oneテーマ21
(角川書店)
2004年3月
■著者は、「空気の研究」を始めとする日本人研究の著作で有名な山本七平。本書は、太平洋戦争(正しくは大東亜戦争)で従軍し捕虜生活を送った著者が、敗戦後、民主国家に生まれ変わったかに見える日本において人々の行動原理が戦時中と全く変わっていないことに危惧を覚え、それを徹底的に追及したもの。

■本書では、同じく戦争体験を有する技術者・小松真一による日本軍の敗因分析(=敗因21カ条)に関する手記をもとに、それに著者自身の戦争体験を照らし合わせながら、日本人の変わらない行動原理の分析を行っている。その行動原理の代表的なものとしては、「無責任」・「保身」・「精神主義」・「形式主義」・「無・反省力」があげられる。

■本書を通じて痛感することは、「日本が米国に敗れたのは、軍事力や物量で劣っていた云々以前の問題で、敵が外部(=米国)ではなく内部(=同じ日本人および自分自身)にいたことが最大の原因である」、ということ。「そもそも米国に勝利する気があったのか?」と思わされるほどに、戦中の日本軍および各種団体のとった行動は、とても馬鹿げているものであった。

■その行動原理が変わっていないとなると、大問題である。実際、90年代中盤以降、特に多発している公務員・企業の不祥事を見ると、上記のように行動原理が変わっておらず、その問題が社会全体で陽表化していることは明らかである。

■本書を読んで、自分を含む日本人のダメさ加減を知って徹底的に絶望する必要がある。そこから、日本人は変わることができ、”「真」の戦後”が始まるのではないか?

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その1
http://plaza.rakuten.co.jp/dcount05/diary/200705130000/
その2
http://plaza.rakuten.co.jp/dcount05/diary/200705130001/


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